【現地レポート】大会4日目:思い描くエース像に近づくために
「令和元年度 全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会」は大会4日目を迎え、男女の準々決勝がサンアリーナせんだいでおこなわれた。
精華女子 (福岡) は大阪薫英女学院 (大阪) と対戦。九州ブロック大会と近畿ブロック大会の女王同士のぶつかりあいは、第3クォーターを終えた時点でも 52-52 という白熱した展開に。勝負の行方は最終クォーターの10分に託された。勝負を分けたのはインサイドとアウトサイドのバランスだ。
「3月に大阪でおこなわれた招待ゲームではインサイドでやられたので、その守り方を練習してきました。もちろんキックアウトされた後の3ポイントシュートを守って、ドライブをさせたいと思っていたのですが、そこは薫英さんのスキルが高かったです。3ポイントシュートを決められるなど、無理のないチームシュートを打たれて、苦しかったです」
精華女子を率いる大上清司コーチはゲームをそう振り返る。
U16 から U17、U18 とアンダーカテゴリーすべての女子日本代表を経験してきたと精華女子⑦三浦舞華もまた、インサイドとアウトサイドをいかに守るか、その「駆け引きがまだまだで、インサイドもアウトサイドもやられてしまいました」と敗因を語る。
三浦自身もゲームの序盤からフェイスガードをされ、ボールを受けられない時間帯があった。しかしフェイスガードをされたのは初めてのことではない。その経験を生かし、ボールを受ければ、落ち着いて得意の1対1で得点を重ねていった。
得点だけでない。ボールを持てなければチャンスメイクをすればいい。そんな考え方も身に付けてきた。
「昨年のウインターカップが終わってから、フェイスガードをされても、自分がスクリーナーになることでスイッチをできない状況を作り出して、ボールマンのアタックを生かすように練習してきました」
ストレスに感じてもおかしくないフェイスガードをものともせず、みずからの力を発揮すべきときにしっかり発揮できたのは、1年生のときからさまざまな経験を積んできたからでもある。
ただ今日のゲームは後悔のほうが大きい。三浦はそう認める。
「大事なところでレイアップを外すなど、決められるシュートを決められなかったことが心に残ります」
そこに相手のフェイスガードは関係ないと三浦は続ける。
「どんな守り方をされてもシュートを決めきるのがエースです。昨年のウインターカップで八雲学園 (東京) の奥山理々嘉さん (現JX-ENEOSサンフラワーズ) を止めようとして、それでも決められてすごいなと思ったんです。そこで私も奥山さんのように決められるエースになりたいとずっと思い続けてきました。インターハイには間に合いませんでしたが、ウインターカップでは決められるエースになります」
大上コーチはインターハイなど高いレベルでな戦いを「潜在能力を出すための課題を与えてくれる」大会と言う。
その言葉を借りれば、厳しいディフェンスを受けながらも19得点をあげた三浦の潜在能力もまた、掘り起こせるまだまだ深みがある。
どんなに厳しい状況であっても、タフにシュートを決め続けられる真のエースになるために――。
これからの数か月が三浦にとって、高校生のなかで最も濃い日々になるはずだ。