【現地レポート】大会最終日:進化し続ける女王・桜花学園が令和初のインターハイを制す
「令和元年度 全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会」は大会最終日を迎え、男女の優勝チームが決まった。
女子は 72-59 で岐阜女子 (岐阜) を下した桜花学園 (愛知) が2年連続24回目の夏の女王に輝いた。インターハイでは5年連続の頂上決戦で、東海ブロックでも毎年しのぎを削り合う両校だけに序盤から競り合いの展開となった。先に抜け出したのは桜花学園だったが、第2クォーターに⑤藤田和のロング3ポイントシュートで岐阜女子が流れを呼び戻した。桜花学園のエース④平下愛佳はその場面が「一番苦しかった」と明かす。
しかし今夏の桜花学園にはそこからもう一段階ギアを引き上げる力があり、前半終了までに8点差をつけると、そこからは岐阜女子の攻撃をしっかりとディフェンスし、通算65回目の全国制覇を成し遂げた。
井上眞一コーチからも今年の「エース」と認められる平下は得点こそ13点に留まったが、この試合はフェイスガードで守られたこともあり、なかなか得点が伸びていかない。ならばと頭を切り替えた平下は、岐阜女子の起点となる藤田へのディフェンスで力を発揮。結果として藤田に13アシストを許しているものの、岐阜女子の攻撃に大きな波を作らせなかった。
「岐阜女子はシューターと留学生の得点を止めることが大切ですが、井上コーチからも、それらは藤田さんのバスからだと言われたので、プレス気味に前からプレッシャーをかけてパスを出させないようにしました。そこはよかったと思います」
平下は自身のディフェンスをそう振り返る。
昨年のウインターカップではメインコートの一歩手前、準々決勝で昭和学園 (千葉) に敗れた。当時からスターティングメンバーのひとりだった平下も、何も語ることなく、アリーナを去っていった。
それから約7か月。当時のことを平下はこう振り返る。
「ウインターカップで負けた後、選手だけでミーティングをおこないました。そのときはコミュニケーションが取れないというか、意見を出せずに黙ったミーティングだったんです。でも今ではミーティングをしても、上級生も下級生も関係なく意見を出せるようになってきました」
むろんそうした変化はチームのまとまりにも好影響を与えたが、バスケットでもコミュニケーションが必要なディフェンスでいい影響を与えたと平下は認める。
平下の対藤田だけでなく、チームとしても岐阜女子を59点に抑えられたディフェンスは、昨年の冬の悔し涙の産物でもあるわけだ。
ディフェンスで貢献したとはいえ、自身の役割である得点面では納得のいっていない平下は「今日は60点の出来」と苦笑い。
「今回は対策をしていなかったフェイスガードされて、逃げてしまいました。ウインターカップではフェイスガードをされても、振り切って得点をとれるようにしたいです」
負けて前進し、勝ってもなお前進し続けようとするからこそ桜花学園は「女王」と呼ばれるのだろう。そのエースの進化にも休みはない。