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【プロローグ】令和初の高校日本一を目指して 南部九州インターハイ開幕へ

 今週末、7月28日 (日) から8月2日 (金) まで鹿児島・薩摩川内市を中心に「令和元年度全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会」がおこなわれる。今年は男子53校、女子51校が各都道府県予選を突破し、文字どおり「令和初」の高校チャンピオンを目指して、熱戦を繰り広げる。

 男子は桜丘 (愛知) を第1シードに、以下、開志国際 (新潟)、福岡第一 (福岡)、明成 (宮城) が各シード枠を埋める。桜丘は、今年度の3×3 U23 日本代表に選ばれた富永啓生が卒業したものの、全員でその穴をカバーしていくスタイルがマッチし、激戦区のひとつである愛知県予選を制した。昨年度のインターハイ王者である開志国際は、昨年度の主力メンバーであるジョフ・ユセフらも残っているが、キャプテンで司令塔でもある高木拓海や、板澤明日起といった実力者が台頭し、チームを支えている。

 昨年度のウインターカップを制した福岡第一は今大会でも注目すべきチームのひとつ。河村勇輝はスピード、スキル、判断力、どれをとっても超高校級のポイントガード。小川麻斗とクベマジョセフ・スティーブも昨年からの主力メンバーで、チームの根幹ともいうべきトランジションバスケットを体現する。八村塁 (ワシントン・ウィザース) の NBA 入りで沸く明成だが、後輩たちも着実にチームを作り上げてきている。チームの大黒柱ともいうべき木村拓郎に、ポイントガードへのコンバートを実践している越田大翔、そして今年は1年生に有望選手も加わった。山崎一渉と菅野ブルース、山崎紀人らが初めてのインターハイでどこまで自分のパフォーマンスを発揮できるだろうか。

 そのほかにも関東チャンピオンの実践学園 (東京) や、河村と双璧を成す大会屈指のポイントガード、黒川虎徹を要する東海大学付属諏訪 (長野)、また近畿チャンピオンの東山 (京都) も虎視眈々と上位進出をうかがっている。地元インターハイに向け、3年がかりでチームを作り上げてきた県立川内 (鹿児島) の戦いぶりにも注目したい。

 女子は昨年度のインターハイ女王で、同大会だけで23回の優勝を誇る桜花学園 (愛知)を筆頭に、大阪薫英女学院 (大阪)、昭和学院 (千葉)、開志国際 (新潟) がそれぞれのシードに収まる。桜花学園はエースの平下愛佳を中心に、昨年からの経験を積んできた選手が多い。一方で昨年度のウインターカップでは準々決勝で敗れるなど悔しい思いも経験している。その思いをどう乗り越えるか。そのウインターカップで準優勝となった大阪薫英女学院は、主力としてそれを経験した森岡奈菜未をエースに据え、全体的にもサイズの大きなチームで戦う。それでいてしっかりと足の動くチームディフェンスにも注目したい。

 昨年のウインターカップで桜花学園を破った昭和学院は、星杏璃 (JX-ENEOSサンフラワーズ) らが抜けたものの、増田泉美や三田七南、1年生の花島百香ら180センチ前後の選手をスターターに起用する、こちらも大型のチーム。同じブロックには京都精華 学園 (京都) や岐阜女子 (岐阜) といった高さのある留学生を擁するチームもあるが、それらとどこまで対等に戦えるか。第4シードに構える開志国際は高さで苦しむものの、山口里奈を中心としたアウトサイド陣の得点力が最大の武器。初戦から波に乗って、一気に勝ち上がっていきたいところだろう。

 上記の岐阜女子は昨年のウインターカップ女王であり、その大会ではケガのためエントリーを外れていた藤田和が今大会には戻ってくる。絶対的な司令塔のカムバックは大きい。また四国チャンピオンの聖カタリナ学園 (愛媛)、九州チャンピオンの精華女子 (福岡)も、当然のことながら力がある。特に精華学園のツーガード、三浦舞華と樋口鈴乃の小気味よいプレーは必見だ。

 今年度もインターハイの男女ファイナリストには、12月におこなわれるウインターカップへの出場権が付与される。インターハイそのものの出場枠が減少したこともあり、これまでであれば今大会に出場できていたかもしれないチームが悔しい思いをしながら、ライバル校を応援している。決勝戦まで勝ち進めば、その彼ら彼女らの冬への扉を少し広げることにもなる。自分たちの名誉だけでなく、切磋琢磨してきた同地区の “仲間” のためにもインターハイを戦い抜きたい。

 今年9月には男子日本代表が出場する「FIBA ワールドカップ2019」が中国で、女子日本代表が出場する「FIBA 女子バスケットボールアジアカップ2019」がインドで、それぞれおこなわれる。そこに出場する選手のほとんどがインターハイを経験している。今年のインターハイでも、新時代を切り拓く新しいスター候補生たちの真剣勝負をぜひ注目していただきたい。

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