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【現地レポート】大会第2日:苦しい初戦を乗り越えた注目のオールラウンダー

 これがシード校の難しさなのか――鵬学園 (石川) ④山口奈々花はそう感じたに違いない。
「令和元年度 全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会」の女子2回戦、今日は大会初戦となる鵬学園は、前日に地元・鹿児島女子 (鹿児島) を破った山形中央 (山形) のゾーンディフェンスと、テンポの遅いオフェンスに苦しめられたが、第4クォーターに逆転に成功し、71-64で3回戦進出を決めた。

 難しさを感じたのは “シード校の初戦” という壁だけではない。インターハイという舞台にも圧倒されたと山口は認める。会場の雰囲気、控室で待つ全国レベルの他チームの雰囲気。そうしたものに飲み込まれていたと言うわけだ。
 無理もない。学校としては6年ぶり3回目のインターハイ出場だが、その6年前、山口ら今の高校3年生は小学6年生だった。つまり今大会は彼女たちにとって “初出場” と言っても過言ではないのだ。
 そのうえ、自分は女子 U17 日本代表に選ばれ、さらに「今年は強いだろう」と言われていた県立津幡を倒した鵬学園のエースで、オールラウンダー。そんな前評判があったせいで大会に入る前から緊張は極度に高まっていたという。初めてのインターハイという緊張と、注目されるプレッシャー。そのため山口の前半は体が重く、3得点しか取れなかった。



「3点だぞ!」

 ハーフタイムにそう発破をかけられたことで、山口はギアを入れ換えることができた。前半から苦しめられていた山形中央 (山形) のゾーンディフェンスに対しても果敢にリバウンドに飛び込むことでプットバックを決め、ディフェンスが中を絞ってくれば、ポップアウトして3ポイントシュートを決める。最終的には23得点・18リバウンド。文字どおり、オールラウンドな活躍だった。
 チームメイトもその山口の奮起に呼応し、残り7分で逆転。粘る山形中央を全員で突き放した。

 そこには県内のライバル、県立津幡を倒すために取り組んだトレーニングも効いていたと山口は言う。
「これまでは県立津幡に後半突き放されていたんですけれど、昨年の10月からトレーニング方法を変えて、それに取り組んだことで、インターハイ予選では前半から粘って、第3クォーターに突き放されることがありませんでした。最後まで粘れたし、体力が切れることもありませんでした」
 その経験が山形中央戦の後半でも生きたわけだ。

 鵬学園は明日、ベスト8進出をかけて精華女子 (福岡) と対戦する。精華女子は女子 U18 日本代表にも選ばれた三浦舞華など運動量の豊富な選手が多い。しかし苦しい1回戦をトレーニングの成果で乗り越えたことで、山口自身としても、チームとしても自信になっている。
 この自信を本物に変えるために――注目のオールラウンダー山口は、明日もう一段ギアを上げてコートに立つ。

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